【解決事例:相続】調整役として関与し、遺産分割協議成立に至った事例

「意見調整型遺産分割」に関する解決事例を紹介します。

意見調整型遺産分割とは、弁護士が中立的な立場で相続人の方々を仲介することです。それぞれの相続人の意見を調整したり、弁護士の立場から助言したりすることで、全相続人にとって公平で妥当性のある遺産分割協議の成立を目指します。

詳しくは以下のページをご覧ください。
意見調整型遺産分割・相続手続代行とは

では、ご依頼人Xさんの事例をみていきましょう。

目次

【状況】

ご依頼人Xさんの叔母(Aさん)が亡くなりました。Aさんに配偶者と子はいません。法定相続人は、Aさんの兄弟姉妹の子5名です。ご依頼人のXさんから見ると、ほかの4名は従兄弟(いとこ)にあたります。

この5名は、親交が深いわけでありませんでした。交流がない人もいれば、従兄弟の親同士が不仲だったところもあります。相続に関する連絡を取りづらい状態だったため、弁護士へ相談するに至りました。

~ポイント~
・亡くなったのはご依頼人Xさんの叔母(Aさん)
・法定相続人はAさんの兄弟姉妹の子5名
・従兄弟同士の交流は浅く連絡が取りにくい

【弁護士への依頼内容】

弁護士には従兄弟同士の調整役として関与してもらい、適切な内容の遺産分割を実現してほしい、という依頼内容でした
相続遺産は約1億5,000万円あり、相続税が発生する見込みがあるため、相続税に関する手続きもお願いしたいとのこと。ただし費用はなるべく抑えたいという希望がありました。

【経過と結果】

このご依頼に対して、まずは意見調整型遺産分割の形で受任し、以下の流れで相続手続きを進めました。

➀被相続人の準確定申告と相続人調査
➁遺産調査とカンファレンスの実施
➂遺産分割協議の成立
➃相続税の申告

➀被相続人の準確定申告と相続人調査
期限が間近に迫っていた被相続人の準確定申告を行いました。ちなみに準確定申告とは、納税者が死亡した際、本人の代わりに相続人が行う確定申告のことです。
それと平行して相続人調査をし、法定相続人に誤りがないことを確定させました。

➁遺産調査とカンファレンスの実施
続いて遺産調査を行い、遺産目録を作成しました。また、預貯金等については、払戻(換価)をしました。
そしてカンファレンス(協議)を実施し、相続人間での情報共有を行い、分割方法について話し合いました。
その結果、不動産は相続人のうち3名のみが引き継ぎ、その他の2名は金銭のみを取得する方法を取ることになりました。

➂遺産分割協議の成立
本件で最も難航したのが、分配する金銭額の調整です。
弁護士として、「法律的にどうなるか=相続人間の衡平」をベースにしつつ、相続人間で合意可能な水準を慎重に探りました。
相続人の皆様と意見交換を続けた結果、合意できる案を見つけることができ、無事に遺産分割協議を成立させることが出来ました。

➃相続税の申告
最後に、相続税申告も行いました。遺産目録の作成時から、相続税申告を見据えていたので、速やかに申告書を作成でき、無事に期限内に申告を行えました。

【コメント】

意見調整型遺産分割を行う典型的なケースのひとつとして、「おじ・おばが死亡し、いとこ同士が相続人」というものがあります。
これが「典型的」な理由は、法定相続人が複数いるにもかかわらず、その相続人間の関係が希薄で、遺産分割協議を進めることが難しいことが少なくないためです。
本件はまさにそのケースでしたが、いとこの親同士の関係があまりよくなかったという背景のある事案でした。相続人がお互いに連絡することさえ憚られるという状況だったため、相続人の1人であるXさんが当事務所に相談にいらっしゃいました。

受任後の経過・結果は上記のとおりです。結果的に、遺産分割協議を成立させることができました。調整型遺産分割を受任する際、はじめに相続人の皆様に対して、以下のことを十分にご理解いただきます。
「これは意見調整を行うものであり、分割協議の成立に向けた話し合いを行うこと=むやみに紛争化させないようにすること」

そのことが最後に活きて、相続人の方々の「互譲」が生まれたと感じるケースでした。また、本件では、準確定申告および相続税申告の依頼も受けました。当事務所は相続に関する手続をワンストップで受任し、工数を削減できるため、総額料金を抑えることができます(※税務申告における弁護士案件割引)。
「費用をなるべく抑えたい」という当初の希望どおり、相続人の皆様の負担も少なくすることができ、ご満足いただけました。同種のケースでお悩みの方は少なくないと思われますので、参考にご紹介いたします。

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