「遺産の分け方で話し合いが進まない」
「きょうだいの主張がかみ合わず、どうすればいいかわからない」
そんな状況に追い込まれていませんか。
相続でもめるのは、決して特別な家庭だけの問題ではありません。家庭裁判所への遺産分割調停の申立ては年間約1万7,000件(令和6年 司法統計年報)にのぼり、そのうち約8割近くが遺産総額5,000万円以下の案件です。つまり、ごく一般的な家庭でも相続をきっかけにトラブルが起きているのが実情です。
この記事では、以下を弁護士・税理士の視点でわかりやすく解説します。
【本記事でわかること】
- 相続でもめやすい5つの原因
- トラブルが発生した場合の解決ステップ(当事者協議→調停→審判・訴訟)
- 将来に向けた生前対策(公正証書遺言・財産目録・家族信託)
- 弁護士・税理士の両資格を持つ専門家に相談するメリット
まずは全体像をつかんで、次の一手を見つけましょう。
相続でもめる!よくある5つの原因
相続トラブルを解決するには、まず、なぜもめているのかを見極めることが大切です。ここでは、実務でよく見られる5つの原因を紹介します。
遺産に不動産が含まれている
現金であれば金額に応じて分けられますが、不動産はそうはいきません。「実家を売却して現金で分配したい」と考える相続人と、「自分が住み続けたい」と考える相続人の間で意見が対立し、話し合いが長引くのは典型的なパターンです。
不動産の分割方法には、主に次の4つがあります。
- 現物分割:特定の相続人がそのまま不動産を取得する方法
- 換価分割:売却して得た代金を相続人間で分配する方法
- 代償分割:一人が取得し、ほかの相続人に代償金を支払う方法
- 共有分割:複数人の共有名義にする方法(将来の管理・処分でもめやすいため慎重な判断が必要)
どの方法を選ぶかに加え、不動産の評価額をどう算定するか(路線価か時価かなど)でも意見が分かれることがあり、協議がさらに複雑になります。評価方法の違いで数百万円単位の差が生じることもあるため、早い段階で専門家に相談することをおすすめします。
▶ 関連解決事例:遺産分割調停にて、相手方に特別受益を認めさせ、それを前提に換価分割を行い、円満解決に至った事例
遺言書がない、または内容が不公平
遺言書がなければ、遺産の分け方は相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で決める必要があります。全員が合意しなければ協議は成立しないため、一人でも反対すれば手続きが止まってしまいます。
また、遺言書が残されていても安心とは限りません。たとえば、特定の相続人に遺産を集中させるような内容であれば、ほかの相続人から「遺留分侵害額請求」が行われ、新たな争いに発展する可能性があります。
遺留分とは、配偶者や子などに法律上認められた最低限の取り分のことです。遺言書の内容に納得できない場合は、弁護士に相談のうえ、請求できる範囲や手続きを確認することが大切です。
生前贈与・介護の寄与分による不公平感
「兄は生前に住宅購入費用を援助してもらっていたのに、相続分は同じなのか」「長年にわたり親を介護してきた自分の苦労は評価されないのか」——こうした不公平感は、きょうだい間の感情的な対立を深める大きな要因です。
法律では、生前贈与は「特別受益」、介護などの貢献は「寄与分」として相続分に反映する仕組みがあります。
ただし、それぞれの金額をいくらと評価するかで争いになりやすく、立証のハードルも高い点には注意が必要です。特に介護の貢献(療養看護型寄与分)は専門的な判断が求められるため、実績のある弁護士への相談がおすすめです。
特定の相続人が財産を管理していた
親と同居して預貯金を管理していた相続人がいると、ほかの相続人から「使い込みがあったのではないか」と疑われるケースがあります。通帳の開示を求めても応じてもらえなかったり、使途不明な出金が見つかったりすると、不信感が一気に広がります。
このような場合は、弁護士を通じて金融機関に取引履歴の開示を請求し、財産の流れを明らかにすることが第一歩です。使い込みの事実が確認できれば、不当利得返還請求などの法的手段で回収を目指すことができます。証拠収集には時効(5年または10年)があるため、早めの対応が必要です。
複雑な家族関係(再婚・認知症・行方不明者)
再婚相手の連れ子や前妻との子がいる場合、相続人同士の面識がなく、話し合いの場を設けること自体が難しくなります。また、認知症の相続人は法律上有効な意思表示ができないため、遺産分割協議に参加できません。行方のわからない相続人がいる場合も同様です。
こうしたケースでは、成年後見人の選任や不在者財産管理人の申立てといった法的手続きが必要になります。手続きには時間がかかるため、早めに弁護士へ相談しておくことが大切です。相続人の調査・確定から対応できる事務所を選ぶことも、スムーズな解決への近道となります。
相続でもめたときの解決ステップ
「今の状況をどうにかしたい」と思ったとき、まず知っておきたいのが解決までの流れです。大きく3つのステップに分けて説明します。
Step1|まずは当事者間での話し合いを試みる
はじめに取り組むべきは、相続人全員による遺産分割協議です。財産目録を作成して遺産の全体像を共有したうえで、法定相続分を出発点に落としどころを探っていきます。
ただし、当事者同士ではどうしても感情的になりやすく、話し合いが堂々巡りになることも珍しくありません。そのような場合は、弁護士に代理交渉を依頼する方法があります。弁護士が間に入ることで、法的な根拠にもとづいた冷静な話し合いが可能になります。
また、話し合いの内容を書面(合意書)として残しておくことで、後になって「言った・言わない」のトラブルを防ぐことができます。
Step2|遺産分割調停を家庭裁判所に申し立てる
話し合いでまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。調停では、裁判官と調停委員が中立的な立場で双方の主張を聴き取り、合意に向けた調整を行います。
もし相手方がすでに弁護士をつけている場合は、ご自身も弁護士に依頼することをお勧めします。法律の知識や調停の進め方に差がある状態で臨むと、不利な条件で合意に至ってしまうおそれがあるためです。
調停は基本的に月1回のペースで進み、解決まで数ヶ月から1年以上かかることもあります。
Step3|調停不成立の場合は審判・訴訟へ
調停でも合意に至らなかった場合は、自動的に審判の手続きへ移行します。審判では、裁判官が証拠をもとに遺産の分割方法を決定します。
なお、遺言の有効性を争う場合や、使い込みに対する不当利得返還請求、遺留分侵害額請求などは、審判とは別に訴訟で解決する必要があります。
注意すべきなのは、争いの最中であっても相続税の申告・納付期限(相続発生から10か月)は延びないという点です。
期限を過ぎれば延滞税や加算税が発生するため、法的手続きと税務対応は並行して進めていく必要があります。弁護士と税理士の両資格を持つ専門家であれば、こうした複雑な場面でも一貫したサポートが可能です。
相続でもめないための生前対策
相続でもめるケースの多くは、事前の備えで防ぐことができます。まだ相続が発生していない方や、将来に向けて準備しておきたい方は、次の3つの対策を検討してみてください。
公正証書遺言を作成する
もっとも効果的な予防策が、公正証書遺言の作成です。公証人が作成に関与するため、自筆証書遺言で起きがちな形式不備のリスクを避けることができ、家庭裁判所での検認手続きも不要です。
作成の際には、ほかの相続人の遺留分を考慮しながら、「誰に・何を・どのような方法で」渡すかを具体的に記載することがポイントです。あいまいな書き方はかえって争いのもとになりかねないため、弁護士のチェックを受けながら進めると安心です。
また、相続税への影響も踏まえた遺言書作成には税理士の視点も欠かせません。弁護士・税理士のダブルライセンスを持つ当事務所では、法的・税務的に整合性のとれた遺言書作成をサポートします。
財産目録を作成し家族間で共有する
「そもそも遺産がどれだけあるかわからない」という不透明さが、相続人間の疑心暗鬼を生む原因になります。不動産・預貯金・有価証券・生命保険・負債などを一覧にした財産目録を作成し、家族全員が内容を把握できるようにしておきましょう。使い込みの疑いといった不要な争いを事前に防ぐ効果があります。
定期的に内容を更新し、保管場所を家族に伝えておくことも大切です。財産目録の整備は、相続税申告の準備にもつながるため、一石二鳥の対策といえます。
家族信託・成年後見制度を検討する
認知症などにより判断能力が低下すると、預貯金の引き出しや不動産の売却ができなくなるだけでなく、遺産分割協議への参加も認められなくなります。
こうしたリスクに備える方法のひとつが家族信託です。本人が判断能力のあるうちに、信頼できる家族へ財産の管理・処分を委ねる仕組みを整えておくことができます。
すでに判断能力が低下している場合には成年後見制度(法定後見)の利用が選択肢になりますので、どちらが適しているかを専門家に確認しておきましょう。
弁護士・税理士に相談するメリット
相続のトラブルは、当事者だけで抱え込むほど長引き、精神的な負担も増していきます。当事務所では、弁護士資格と税理士資格の両方を持つ専門家が在籍しており、法的手続きと税務対応を一体でサポートできることが大きな強みです。
弁護士・税理士に相談することで得られるメリットを3つの観点から説明します。
代理交渉で相手と直接連絡するストレスを回避できる
弁護士に依頼すれば、相手方との連絡窓口はすべて弁護士が担います。感情的にぶつかりがちなやり取りから離れられるだけでも、精神的な負担は大きく軽減されます。
法的根拠にもとづいた交渉が進むため、話し合いが建設的な方向に向かいやすくなる点もメリットです。特に、相手方がすでに弁護士をつけている場合は、早急にご自身も弁護士に依頼されることをお勧めします。
調停・審判・訴訟まで一貫してサポートしてもらえる
相続問題では、話し合いで解決できなければ調停へ、調停で合意できなければ審判や訴訟へと段階が進むことがあります。最初の段階から弁護士に依頼しておけば、途中で方針や担当が変わる心配がなく、一貫した対応が期待できます。トラブルは長引くほど解決にかかる時間やコストが増えるため、早めの相談が有効です。
弁護士×税理士のダブルライセンスで相続税も安心
争いが長引いていても、相続税の申告・納付期限(被相続人の死亡を知った日から10か月)は待ってくれませんが、弁護士×税理士の両方の専門家が在籍しているので、遺産分割の交渉と相続税申告を同時進行で進めることができます。
相続でもめる?よくある質問
Q. 弁護士への相談はいつが最適ですか?
A. できるだけ早い段階でのご相談をお勧めします。遺産分割協議が始まったタイミングや、相手方が強硬な姿勢を見せ始めた段階が理想です。もちろん調停や審判に進んでからでも依頼は可能ですが、初期から関与してもらうほうが取れる選択肢が多く、有利な解決につながりやすくなります。
Q. 遺産が少なくても相続でもめますか?
A. もめることは十分にあります。先述のとおり、遺産分割調停事件の約8割近くは遺産総額5,000万円以下の案件です。金額の大小よりも、家族関係の複雑さや遺言書の有無、生前贈与の有無、介護の負担の偏りといった事情が争いの引き金になるケースが多く見られます。
Q. もめたまま放置するとどうなりますか?
A. 放置にはさまざまなリスクがあります。遺産分割が未了のままでは、不動産の自由な処分や預貯金の払い戻しに制約が生じます(なお2019年改正により、法定相続分の3分の1・最大150万円の範囲で単独払い戻しは可能です)。
2024年4月からは相続登記が義務化されており、3年以内に登記または「相続人申告登記」の申出をしなければ10万円以下の過料が科されるおそれがあります。加えて、相続税の申告・納付期限(10か月)を超過すると、延滞税や無申告加算税といったペナルティも発生します。
まとめ
この記事のポイントをまとめます。
- 相続でもめる原因は、不動産の分割・遺言書の不備・生前贈与や介護をめぐる不公平感・財産管理の不透明さ・複雑な家族関係など多岐にわたる
- トラブルが発生したら、「当事者間の話し合い → 遺産分割調停 → 審判・訴訟」の順で解決を目指す
- 将来に備えるなら、公正証書遺言の作成・財産目録の共有・家族信託の活用が有効
- 弁護士・税理士のダブルライセンスを持つ専門家に早めに相談することで、法的対応と税務対応を一体で進められ、精神的な負担も大幅に軽減できる
相続でもめるトラブルは、時間が経つほどこじれ、解決が難しくなる傾向があります。「話し合いが平行線で先が見えない」「このまま放置していいのか不安だ」と感じたら、まずは専門家に相談してみてください。
虎ノ門法律経済事務所 上野支店では、弁護士と税理士の両資格を活かし、相続トラブルから生前対策まで幅広くサポートしております。初回相談は無料です。おひとりで悩まず、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ
当日または翌日のご相談を希望される場合は、
お電話にてお問い合わせ頂いた方が確実です。
ご相談予約専用
受付:平日 9:30 – 19:00/土曜 11:00 – 14:00
初めてご相談される場合、費用は無料です。
じっくりお話を伺ったうえで、ご質問・ご疑問にお答えし、解決方法・手続の流れについて、丁寧にご説明いたします。お気軽にお越しいただき、率直にお話しください。依頼した場合の費用も、明確に見積り、ご案内します。
その場で依頼する必要はありません。一度お持ち帰り頂いて、じっくりご検討ください。

