終活とは – 当事務所の考える終活は「残りの人生をよく生きるための思索と施策」

目次

1.終活への新たな視点

「終活」、あなたはこの言葉をどう理解していますか?一般的には、「終活」は「人生の終わりに向けた活動」の略と呼ばれ、その準備・備えをする活動のことを指すと理解されることが多いと思います。
これは、「寿命に向き合うこと」、あるいは「そろそろ死ぬだろう」という「寿命」に備えることと言い換えてもよいでしょう。

その理解を少し広げてみると、「終活」は、私たちのライフサイクルに基づくライフプランニングの一環だといえるでしょう。ライフプランニングとは、人生を豊かに生きるために設定される生涯の目標や計画を指します。
ただ、「ライフプランニング」、という語は、人生をある型にはめるような印象を与えるかもしれません。少なくとも、私は好きではありません。私たちの人生はそれぞれユニークで、一つの型にはめられるものではありません。

そこで行うのは、「どう生きたいか」「どう生きたくないか」「『誰か』にどうあってほしいか」「自分は『誰か』へ寄与したいか・すべきか・否か」「『誰か』にさせたくないことはあるか」といった問いへ個々人が答えを考えること、そして、それを実現する方法を計画・準備・実行することです。素直にそうした作業だと位置付けることで見通しがよくなってきます。

これは、自分の「願い」を言語化し、「希望」を見つける・見つけ直す作業でもあります。
希望を持つことは、よく生きるために必要な事柄の1つです。
そうであれば、「終活」は「残りの人生をよく生きるための思索と施策である」と定義できるでしょう。

2.自分らしい終活を考える

終活というのは、単に死を迎える準備をするだけでなく、残りの人生をどのように過ごしたいか、それをどのように実現するかを考える活動です。終活を考えることは、自己と向き合い、自己の意志や希望を見つけることでもあります。そのため、次のような問いを自問自答することから始めてみてはいかがでしょう。

  • 1. 「どう生きたいか」
  • 2. 「どう生きたくないか」
  • 3. 「(親族・友人・地域・社会などの)『誰か』にどうあってほしいか」
  • 4. 「自分は『誰か』へ寄与したいか・すべきか・否か」
  • 5. 「『誰か』にさせたくないことはあるか」

これらの問いを考えることは、自分の「願い」を明確に言語化し、「希望」を見つける・見つけ直す作業につながります。希望を持つことは、人生を豊かに過ごすために欠かせない要素です。

それぞれの問いに対する答えは、人それぞれ違います。あなたがどのような答えを見つけ、それをどのように実現するかが重要です。そのため、これらの問いに対する答えを見つけることは、終活の大切な一部となります。それらの答えが見つかったとき、自分らしい生き方、存在の仕方が見えてくるでしょう。

3.弁護士が提供できる終活支援

「よく生きる」ことは、私たち一人一人の課題であり、それぞれが異なる道を選ぶでしょう。しかしながら、その道筋をつけ、そのための環境を整える支援を提供できるのが、私たち弁護士の役割です。

終活の中で、私たちは主に以下の3つの事項について、法的観点からの施策を提案します。

  • 1. 資産・財産:財産の管理と承継(相続)に関わる法的なアドバイスを提供します。具体的には、家族信託や遺言の作成などを通じて、財産が適切に管理され、必要な時に円滑に承継されるよう支援します。
  • 2. 医療・介護:身上監護についての法的なアドバイスを提供します。任意後見契約の作成を通じて、もしもの時にあなたの意志が尊重され、適切な医療や介護が提供されるよう支援します。
  • 3. 葬儀・墓地:葬儀や墓地の選択に関する法的なアドバイスを提供します。死後事務委任契約の作成を通じて、自分の死後の事務が適切に処理され、葬儀や墓地の選択があなたの希望通りに行われるよう支援します。

私たち弁護士が提供できる支援は、その人その人の希望や状況により、具体的な形状を変えます。あなたの希望に基づいた最適な施策を一緒に考え、それを実現する道筋をつけることが私たちの役目です。

4.法的観点から見た終活の施策

具体的な法的施策について詳しく見ていきましょう。ここでは、資産・財産、医療・介護、葬儀・墓地の3つの観点から、それぞれの施策について説明します。

1. 資産・財産の管理と承継

家族信託や遺言は、あなたの財産を自分の意志に基づいて管理し、承継するための重要なツールです。これらの方法を使用することで、自分の死後も財産が望む形で適切に承継されることを確認することができます。

2. 医療・介護の管理

任意後見契約は、あなたが望む医療や介護が自分が判断できなくなった時でも提供されるようにするための方法です。尊厳死・終末医療等に関する宣言書の作成も検討すべきでしょう。ここでの重要なポイントは、自分の意志を尊重してもらえるように事前に準備をすることです。

3. 葬儀・墓地の管理

死後事務委任契約は、自分の葬儀や墓地の選択、その他の死後の事務があなたの意志に基づいて適切に実行されるようにするための契約です。あなたが望む形での葬儀を行い、適切な墓地を選ぶことで、遺族に対する負担を軽減することが可能となります。

それぞれの施策は、あなたの人生の最終章を自分らしく、自分の意志に従って過ごすための具体的なステップです。そのため、自分の意志を尊重し、自分らしい生活を送るために、これらの法的施策を上手に利用することが重要です。

5.終活とは、よく生きるための思索と施策

終活とは、単に「死」に備えることではありません。それはむしろ、「どう生きたいか」「どう生きたくないか」を真剣に考え、その結果を基に自分の生活を最適化するためのプロセスです。終活は、希望を言語化し、それを具現化するための法的施策を考え、実行する活動です。

終活を通じて、私たちは自己の生き方について深く考え、自己の願望や価値観を反映させた具体的な行動を計画します。そして、その行動計画を実行することで、人生の最終章を自分らしく過ごすことができます。それはまた、自分の死後、家族や親しい人々に適切なガイダンスを提供し、迷いや混乱を最小限に抑えることも可能にします。

終活は「残りの人生をよく生きるための思索と施策」であり、その目指すところは、「生きることの質を高め、自分らしさを最後まで貫くこと」です。その過程で、私たち弁護士はあなたの思索に寄り添い、適切な法的施策を提案し、その実行をサポートします。あなたの「よく生きる」ためのパートナーとして、最善を尽くします。

6.結び

人生の終わりに向けて考えることは、時として難しいものです。しかし、終活を通じて自分自身の願望を明確にし、それを実現するための手段を見つけることは、自己理解を深め、人生の最終章をより良いものにするために重要です。

私たちの役割は、あなたが「よく生きる」ための環境を作り、適切な法的施策を提供することです。一方で、終活はあくまで個々人の旅であり、最終的な決断はあなた自身が下すべきものです。

この記事が、あなたの終活への思索の旅に役立つ一助となり、自己の願望を実現する道筋を見つけるのに少しでもお役立てれば幸いです。

何か困ったことや質問がありましたら、どんな小さなことでも構いませんので、当事務所へお気軽にお問い合わせください。あなたの「よく生きる」ためのサポートを提供いたします。

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次