これまで、遺言の内容についてお話して来ましたが、1つ付け加えないといけないのが、遺言執行者です。
遺言執行者とは、受遺者や相続人らのために、中立的な立場から、遺言の内容を実現する役職のことを言います。 遺言執行者は、遺言で指定されるか、されていなければ受遺者等が申し立てて裁判所が選任します。 弁護士でなくても就任することができます。
なぜこの役職が重要なのかというと、遺言の内容によっては、遺言執行者なくして実現不可能な遺言というものがあるからです。 「相続させる遺言」の浸透により、全く遺言執行者が不要な遺言も少なくありません。
しかし、例えば、預金を2分の1ずつ相続させるとする遺言の場合、金融機関は自らのコンプライアンスやリスク回避のため、遺言執行者に対してでなければ払い戻しに応じないという場合がありえます。また、清算型遺贈では、遺言執行者が遺産を換価して、債務等の支払いをすることとなるため、遺言執行者なしでは手続を進めることが出来ません。
このように、遺言執行者には、様々な知識や、受遺者や相続人らに中立的な立場で毅然と立ち振る舞う姿勢が必要です。そのため、遺言執行者が必要になる遺言であれば、以上のような相続の実務に精通した信頼できる人を、予め遺言で遺言執行者に選任しておくことをおすすめします。
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