自筆証書遺言保管制度について

目次

1.自筆証書遺言保管制度の概要

自筆証書遺言保管制度とは、遺言者が自筆で作成した遺言書を法務局が保管する制度のことを指します。

この制度の利用により、遺言書の紛失や盗難を防ぐことが可能となります。また、遺言書の存在が確認できるため、遺言の実施に対する信頼性が高まります。

本制度は、法務省のウェブサイト(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html)にて、詳細な説明がなされています。本記事では、そのなかでも制度の概要とポイントをお伝えします。

2.自筆証書遺言保管制度のメリット

1.安全な保管

自筆証書遺言保管制度の最大のメリットは、遺言書の安全な保管が可能であることです。遺言者が自筆で作成した遺言書を、法務局に保管の申請をすることで、遺言書の紛失や盗難を防ぐことができます。また、遺言書が法務局に保管されていることで、遺言の存在が確認でき、遺言の実施に対する信頼性が高まります。

2.検認手続が不要に

本制度を利用すると、相続開始後に必要な遺言の検認の手続が不要になります。相続人からすると、遺言の執行の前に裁判所へ申し立てて手続をとる必要がなくなるため、負担が減ります。

3.相続人への通知

法務局から相続人へ遺言書の存在が通知されるようにもなります。遺言書が発見されないリスクが低減できることは大きなメリットです。(公正証書遺言にはこのような通知制度はありません。)

3.自筆証書遺言保管制度の手続き方法

自筆証書遺言保管制度を利用するための手続きは以下の通りです。

  • 1. 自筆証書遺言の作成:遺言者は自筆で遺言書を作成します。この際、遺言書はA4サイズの用紙に、余白など所定の様式に従って記述する必要がありますので注意しましょう。
  • 2. 法務局への提出:作成した遺言書を法務局に提出します。遺言者本人が出向いて手続きを行う必要があります。郵送や代理人での手続はできません。
  • 3. 保管:法務局で遺言書を保管します。
  • 4. 証明書の発行:相続が発生した場合、相続人は、保管されている遺言書そのものではなく、「遺言書情報証明書」という遺言書のコピーに証明がついたものを受け取ることができます。これが自筆証書遺言と同じ効力を持ちます。

4.自筆証書遺言保管制度の注意点

自筆証書遺言保管制度を利用する際には、いくつかの注意点があります。まず、遺言者本人が出向いて手続きを行う必要があります。代理人による手続きは認められていません。また、遺言書が保管できる法務局は限定されていますので、事前に確認が必要です。

自筆証書遺言が保管されているか確認したい場合

相続人(または受遺者、遺言執行者)は、遺言者の自筆証書遺言が法務局に保管されているか、相続開始後に確認をすることができます。具体的には、「遺言書保管事実証明書」の発行を求めることで、保管の有無が判明します。

以上、自筆証書遺言保管制度について解説しました。

筆者自身は、自筆証書遺言を作成されるのであれば、是非前向きに利用を検討すべき制度と考えています。検認が不要なことと、通知制度があることはやはり大きいです。法務局へ出向かなければならない点は負担ですが、それを差し引いても大きなメリットがあります。

自筆証書遺言の作成を検討されている方、自筆証書遺言の保管がされているのではないかと気になっている相続人の方などの参考になれば幸いです。

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