テレワーク・在宅勤務の留意点と対処法 第1回

新型コロナウイルスへの感染の懸念から、テレワークや在宅勤務の導入を行った/行おうとしている企業も少なくありません。当事務所にも同様の相談が寄せられています。
 あらためて、テレワーク・在宅勤務の留意点と、具体的な対処方法について、検討し、まとめてみました。ご関心のある企業・担当者の方のお役に立てれば幸いです。

目次

第1総論

1.テレワークの定義

テレワークとは、「ICT(情報通信技術)を活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き
方」の事です。
(厚生労働省「テレワークとは」参照:https://telework.mhlw.go.jp/telework/about/

2.テレワークの就労形態

テレワークには、いくつかの就労形態があります。

  • ①在宅勤務:所属するオフィスに出勤しないで、従業員の自宅を就労場所とする形態です。
  • ②モバイルワーク:ノートPCや携帯電話等を用いて、移動中やカフェなど臨機応変に選択した
    場所で業務を行う形態です。
  • ③サテライトオフィス勤務:所属するメインのオフィス以外に設けられたオフィスや、遠隔勤
    務用の施設を就労場所とする形態です。

3.就業規則に定めるべき事項

通常勤務とテレワーク勤務において、労働時間制度やその他の労働条件が同じである場合は、
就業規則を変更しなくても、既存の就業規則のままでテレワーク勤務ができます。
しかし、通常勤務では生じないことがテレワーク勤務に限って生じる場合があるとき等は就業
規則の変更が必要となります。
(厚生労働省『テレワークモデル就業規則』p.3:https://www.tw-sodan.jp/dl_pdf/16.pdf

◆テレワークを行う際の就業規則に必ず記載しなければならない項目(必要的記載事項)は以下
の①~③です。(労基法89条1号ないし3号)

  • ①始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに交替制の場合には就業時転換に関する事
  • ②賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払いの時期並びに昇給に関する事
  • ③退職に関する事(解雇の事由を含む。)

◆テレワークを行う際の就業規則に記載の必要がある項目(任意的記載事項)は以下の①~⑧で
す。(労基法89条3号の2ないし10号)

  • ①退職手当に関する事
  • ②手当・賞与・最低賃金金額について定める場合には、これに関する事
  • ③食費・作業用品等を負担させる場合には、これに関する事
  • ④安全・衛生に関して定める場合には、これに関する事
  • ⑤職業訓練に関して定める場合には、これに関する事
  • ⑥災害補償・業務外の傷病扶助について定める場合には、これに関する事
  • ⑦表彰・制裁について定める場合には、これに関する事
  • ⑧上記のほか、当該事業場の全労働者に適用される事項について定める場合にはこれに関する

※就業場所は必要記載事項ではないので、労働時間等の変更がなければ、就業規則を変更する必要
はありません。

 いずれも通常の就業規則と同様の規制になりますが、就業規則を設計する際には、漏れがない
ように留意してください。
 特に、自前でパソコンを用意させる場合や、自宅のインターネット回線の費用負担などは、任
意的記載事項③「作業用品等を負担させる場合」に該当する可能性がありますので、明記した
方がよいでしょう。

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