【解決事例:相続】調整役として関与し、遺産分割協議成立に至った事例 2

2022年6月14日更新

解決事例のご紹介です。意見調整型遺産分割・相続手続代行のケースです。

【事案概要】

○被相続人
亡くなられたのは、北海道在住の80歳の方でした。
結婚歴がない方で、一人暮らしをされていた方でした。いわゆる「おひとりさま」です。
生前、自治体申立で、地元の社会福祉協議会が成年後見人に就任しており、その社協が財産管理を行なっていました。
○相続人
相続人は、亡くなられた方の甥姪ら5名でした。相続人からみると「いとこ」同士になります。
5名のうち2名(長男筋の方含む)は東京在住、うち3名は北海道在住という状況でした。
(亡くなられました方には、配偶者も子どももおらず、当然両親も他界していました。3人の兄弟姉妹がいらしたのですが、その3人とも既に他界していたので、更にその子らが相続人になります。)

【相談に至る経緯】

被相続人が亡くなれば、後見人は相続人へ財産を引き継がなければなりません。
そのため、後見人であった社協から、相続人へ連絡がありました。
そこには、①被相続人の遺産として預貯金と居住していた戸建(土地・建物)がある、②相続するのであれば代表者を選任してほしい、③相続放棄する場合は手続を取って連絡してほしい、と書かれていました。
相続人としては、遺産があるなら引き継ぎたいが、被相続人のこともほとんど知らず、いとこ同士もあまり知らないうえ、遠方に住んでいるという関係のため、遺産分割協議を進めるのも難しいのではないか、と考えていました。
そこで、インターネットで検索したところ、たまたま当事務所のウェブサイトをみつけ、相談にいらっしゃいました。(みつけたとき、ぴったりのサービスでは?と思われたそうです。)

【受任~初動】

意見調整型遺産分割・相続手続代行のサービス内容を、相続人全員にご提案させて頂き、ご理解を頂けたため、受任いたしました。
相続人調査を行った後、社協から財産を引き継ぎ、遺産調査をしつつ、預貯金の解約払戻、不動産の処理方針の検討を行いました。
不動産の取得希望をお持ちの相続人の方はいらっしゃいませんでしたので、換価分割(売却して売買代金を分配すること)を行うことをご提案し、相続人の皆様のご了解を得られました。

【不動産の処理】

問題はここからでした。
本件の不動産は、北海道のとある都市の住宅地に所在しており、売却も容易ではないかと考えていたのですが、地元の不動産業者3社に問い合わせて動いてもらっても、うまく進みませんでした。
それは、①そもそも地方都市では中古戸建のニーズが少ない(新築で建ててしまう方が主流)、②建物の1階は元店舗のため住居として微妙、③ファミリー向けの戸建にしては土地が中途半端に広いといった要因により、市場性が必ずしも高くないことによります。
そのため、建物を取り壊して更地にしてから、辛抱強く買い手を待つしかないのではというのが、地元の不動産業者の意見でした。
私としては、取壊費用として300万円以上の金額を要するうえ、買い手が現れる保証がないというのが気になっていました。できれば、早めに処分をして相続の手続を完了させることが、依頼者(相続人)の方々の共通した願いでした。
そこで、今度は、私の知っている不動産業者に相談をしました。そうしたところ、意外にも、買い取ってもらえる業者に繋がることができました。これは本当に僥倖でした。

【遺産分割】

不動産の処理ができたことで、最終的な遺産分割協議の成立にこぎ着けることができました。
依頼者の方には、遺産分割までの間、お仕事を休まなくてもよいよう、時間的な拘束や精神的な負担がないように手続を進めるよう務めました。

【さいごに】

このケースは、相続人が従兄弟同士と疎遠であること、不動産の処分が必要であったことの2点において、当事務所での意見調整型遺産分割・相続手続代行サービスの強みを発揮できたケースだと思います。

年末年始休業のお知らせ

2021年12月21日更新

いつも当事務所をご利用いただき、ありがとうございます。
本年の年末年始休業は以下の日程となっておりますので、お知らせいたします。

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■休業期間
2021年12月29日(水)~2022年1月3日(月)
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年内の新規相談の受付は、2021年12月24日(金)までとさせていただきます。
休業明けの新規相談の受付再開は、2022年1月5日(水)からとなります。
休業期間中はご不便をおかけいたしますが、ご了承くださいますようお願い申し上げます。
それでは今後とも、よろしくお願いいたします。

【解決事例:相続】調整役として関与し、遺産分割協議成立に至った事例

2021年12月13日更新

「意見調整型遺産分割」に関する解決事例を紹介します。

意見調整型遺産分割とは、弁護士が中立的な立場で相続人の方々を仲介することです。それぞれの相続人の意見を調整したり、弁護士の立場から助言したりすることで、全相続人にとって公平で妥当性のある遺産分割協議の成立を目指します。

詳しくは以下のページをご覧ください。
意見調整型遺産分割・相続手続代行とは

では、ご依頼人Xさんの事例をみていきましょう。

【状況】

ご依頼人Xさんの叔母(Aさん)が亡くなりました。Aさんに配偶者と子はいません。法定相続人は、Aさんの兄弟姉妹の子5名です。ご依頼人のXさんから見ると、ほかの4名は従兄弟(いとこ)にあたります。

この5名は、親交が深いわけでありませんでした。交流がない人もいれば、従兄弟の親同士が不仲だったところもあります。相続に関する連絡を取りづらい状態だったため、弁護士へ相談するに至りました。

~ポイント~
・亡くなったのはご依頼人Xさんの叔母(Aさん)
・法定相続人はAさんの兄弟姉妹の子5名
・従兄弟同士の交流は浅く連絡が取りにくい

【弁護士への依頼内容】

弁護士には従兄弟同士の調整役として関与してもらい、適切な内容の遺産分割を実現してほしい、という依頼内容でした
相続遺産は約1億5,000万円あり、相続税が発生する見込みがあるため、相続税に関する手続きもお願いしたいとのこと。ただし費用はなるべく抑えたいという希望がありました。

【経過と結果】

このご依頼に対して、まずは意見調整型遺産分割の形で受任し、以下の流れで相続手続きを進めました。

➀被相続人の準確定申告と相続人調査
➁遺産調査とカンファレンスの実施
➂遺産分割協議の成立
➃相続税の申告

➀被相続人の準確定申告と相続人調査
期限が間近に迫っていた被相続人の準確定申告を行いました。ちなみに準確定申告とは、納税者が死亡した際、本人の代わりに相続人が行う確定申告のことです。
それと平行して相続人調査をし、法定相続人に誤りがないことを確定させました。

➁遺産調査とカンファレンスの実施
続いて遺産調査を行い、遺産目録を作成しました。また、預貯金等については、払戻(換価)をしました。
そしてカンファレンス(協議)を実施し、相続人間での情報共有を行い、分割方法について話し合いました。
その結果、不動産は相続人のうち3名のみが引き継ぎ、その他の2名は金銭のみを取得する方法を取ることになりました。

➂遺産分割協議の成立
本件で最も難航したのが、分配する金銭額の調整です。
弁護士として、「法律的にどうなるか=相続人間の衡平」をベースにしつつ、相続人間で合意可能な水準を慎重に探りました。
相続人の皆様と意見交換を続けた結果、合意できる案を見つけることができ、無事に遺産分割協議を成立させることが出来ました。

➃相続税の申告
最後に、相続税申告も行いました。遺産目録の作成時から、相続税申告を見据えていたので、速やかに申告書を作成でき、無事に期限内に申告を行えました。

【コメント】

意見調整型遺産分割を行う典型的なケースのひとつとして、「おじ・おばが死亡し、いとこ同士が相続人」というものがあります。
これが「典型的」な理由は、法定相続人が複数いるにもかかわらず、その相続人間の関係が希薄で、遺産分割協議を進めることが難しいことが少なくないためです。
本件はまさにそのケースでしたが、いとこの親同士の関係があまりよくなかったという背景のある事案でした。相続人がお互いに連絡することさえ憚られるという状況だったため、相続人の1人であるXさんが当事務所に相談にいらっしゃいました。

受任後の経過・結果は上記のとおりです。結果的に、遺産分割協議を成立させることができました。調整型遺産分割を受任する際、はじめに相続人の皆様に対して、以下のことを十分にご理解いただきます。
「これは意見調整を行うものであり、分割協議の成立に向けた話し合いを行うこと=むやみに紛争化させないようにすること」

そのことが最後に活きて、相続人の方々の「互譲」が生まれたと感じるケースでした。また、本件では、準確定申告および相続税申告の依頼も受けました。当事務所は相続に関する手続をワンストップで受任し、工数を削減できるため、総額料金を抑えることができます(※税務申告における弁護士案件割引)。
「費用をなるべく抑えたい」という当初の希望どおり、相続人の皆様の負担も少なくすることができ、ご満足いただけました。同種のケースでお悩みの方は少なくないと思われますので、参考にご紹介いたします。

法律相談の受付状況についてのお知らせ

2021年9月16日更新

当事務所は、「従業員のワクチン2回接種・不織布マスクの着用・消毒の実施」等の感染防止対策を実施の上、ご希望や案件に応じて、対面、オンライン、電話での相談を行っています。

また、上記のいずれの方法でも事前予約制、初回相談料は無料です。

引き続き、感染防止策を講じながら、皆さまのお役に立てるよう努めてまいります。
まずはお気軽にお問い合わせくださいませ。

【解決事例:共有物分割】自己が居住していない共有不動産(戸建)の共有持分を、居住する他の共有者に買い取らせ、相当額の価額賠償金の支払を受け、解決に至った事例

2021年2月26日更新

共有物分割に関する解決事例の紹介です。

【依頼内容】
依頼人Xさんは、数年前に夫のYさんと離婚をしました。その際、夫婦共有名義の自宅戸建は、事情があり、名義も住宅ローン(ペアローン)も残したまま、離婚をしました。
離婚から年数も経ち、Xさんは、過去とYさんとの関係を清算するため、この不動産の共有関係の解消を求めましたが、Yさんは様々な言い分を主張して話し合いにならなかったため、当事務所へ相談に来所されました。

【経過と結果】
Xさんからご依頼いただき、Yさんとの協議は困難であることが予想されたため、速やかに調停を申し立てました。
調停では、Yさんも法的に明らかに理由のない主張はせず、YさんがXさんの共有持分を買い取る方法(いわゆる全面的価額賠償)により、共有関係を解消することができました。Xさんは適切な価額での賠償金を得ることができました。
調停条項を工夫したことで、住宅ローンの清算も行え、無事、Xさんは、Yさんとの関係を完全に解消することができました。

【コメント】
共有関係は、よほど特殊なケースでない限り、解消することが可能です。そのため、協議での解決が難しい場合は、早めに調停や訴訟を申し立てることが肝要です。
本件でも、調停移行後は、スムーズに事を運ぶことができ、コロナ禍の影響による中断を挟みながらも、受任から1年ほどで解決に至ることができました。

テレワーク・在宅勤務の留意点と対処法 第2回

2021年2月17日更新

在宅勤務実施の留意点

◆労働基準関係法令の適用
労働基準法上の労働者については、テレワークを行う場合においても、労働基準関係法令が適用されます。

◆使用者は、労働契約を締結する際、労働者に対し、賃金や労働時間のほかに、就業の場所に関する事項等を明示しなければなりません。(労働基準法第15条、労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)第5条第1項第1の3号)
 そのため、労働者に対し就労の開始時にテレワークを行わせることとする場合には、就業の場所としてテレワークを行う場所を明示しなければなりません。

◆テレワークの実施とあわせて、始業及び終業の時刻の変更等を行うことを可能とする場合は、就業規則に記載するとともに、その旨を明示しなければなりません(労働基準法施行規則第5条第1項第2号)
(厚生労働省『テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン』p.6労働基準関係法令の適用及び留意点等 参照:https://www.mhlw.go.jp/content/000553510.pdf)

1.主な検討事項

【項目】/ ●内容

【対象者】

●介護・育児・疾患をもっている社員などに限定するか
 テレワークの利用を希望するすべての従業員が、業務の種類にかかわらずテレワークを実施できることが理想です。
 ただ、新たにテレワークを導入する段階では効果検証がしやすいように、まずは小規模で開始し、対象業務と対象者を選定することも検討ポイントになります。
(厚生労働省『テレワーク導入のための労務管理等Q&A集』p.10 Q1-7(4)対象者の決定:https://telework.mhlw.go.jp/intro/prs/)

●職種や担当業務・役職等で対象者を限定するか
 テレワークは、自律的・自己管理的に仕事を進めることが求められるため、仕事の進め方や報告・連絡など、会社のルールを理解していることが必要です。
 新入社員や育成社員、標準以下の実績者、頻繁に直接会って行うコミュニケーションをとる必要がある業務の従事者などを対象外としている企業もあります。
(厚生労働省『テレワーク導入のための労務管理等Q&A集』p.10 Q1-7(4)対象者の決定:https://telework.mhlw.go.jp/intro/prs/)

【対象業務】

●在宅勤務で実施できる業務、実施できない業務の整理
 テレワークの対象となる業務を選定するに当たっては、「業務」単位で整理することがポイントです。

 まずは、業務全体の「棚卸し」を行い、テレワークで実施しやすい業務と実施しにくい業務を整理しましょう。
 業務の「棚卸し」は、例えば、次のような観点で行うことが考えられます。

  • ① 業務にかかる時間 : その業務にどれくらいの時間がかかるか。
  • ② 使用する書類 : 使用する書類はあるか。書類は紙媒体か、電子化されたファイルか。
  • ③ 使用するシステムやツール : アプリケーションやソフトウェアなど、必要なシステムやツールはあるか。
  • ④ セキュリティ、情報漏洩リスク : 業務上で取扱う顧客情報や個人情報があるか。
  • ⑤ 関係者とのコミュニケーション : 業務は何人で行うか。関係者とのやりとりの頻度はどのくらいか。

(厚生労働省『テレワーク導入のための労務管理等Q&A』p.11 参照:https://telework.mhlw.go.jp/wp/wp-content/uploads/2019/12/RomuQA.pdf)

【利用日数】

●常時、週1日、週2日、日数の定めなし等
 社内の重要な会議や、顧客・取引先との打ち合わせ等が設定されている日は、利用不可とする等の運用ルールも可能。

【申請方法】

 事前申請とするか、申請方法はどうするか(勤怠管理システムによる申請、メール・チャットによる申請等)

【セキュリティルール】

 企業経営にとって、情報セキュリティ対策は非常に需要ですが、何を誰から守るのか、その対象を明確にする必要があります。
 総務省の「テレワークセキュリティガイドライン」によれば、セキュリティポリシー等の「ルール」、社員への教育・啓発活動等の「人」、システム的なインフラ整備等の「技術」の3つのバランスをとることが重要だと述べられています。
 テレワークは柔軟な働き方を手に入れることができる一方、情報セキュリティに対する十分な考慮と、適切な措置が必要です。
(厚生労働省『テレワーク総合ポータルサイト』情報セキュリティと情報システムに関するQ&A:https://telework.mhlw.go.jp/qa/qa2-1/)

●会社から貸与されたPC、携帯電話、テレビ会議システム以外の使用の可否、Wi-Fi接続ルール
 テレワークのために貸与された端末を、本来の業務と異なる用途に使用することは、企業の資産の目的外利用として不適切なばかりでなく、悪意のソフトウェアの感染等の原因になります。
(総務省『テレワークセキュリティガイドライン』p.23:https://www.soumu.go.jp/main_content/000215331.pdf)

●データの持ち出し時・クラウド利用のルール
 テレワークはセキュリティの管理が難しいという人が多いです。しかし、リモートデスクトップ方式や仮想デスクトップ方式、クラウドサービスなどを利用すれば、社外であってもセキュリティを確保した上で業務遂行することは可能です。
(厚生労働省『テレワーク総合ポータルサイト』テレワークの導入方法 (8)システムの準備(セキュリティ:https://telework.mhlw.go.jp/intro/prs/)

●紙・資料の持ち出しや勤務場所以外での印刷可否
 テレワークを実施する上では、文書の電子化は必要不可欠です。既存の紙の文書をどのようにするかが課題となります。しかし、すべての既存の文書を電子化するには膨大な費用がかかるでしょう。どのような文書を電子化し、どのような文書は紙のままにするかを峻別することが必要となります。
 頻繁に参照する必要のある契約書などは電子化した方が、オフィスで仕事をする上でも効果的です。
(厚生労働省『テレワーク総合ポータルサイト』テレワークの導入方法 (9)文書の電子化:https://telework.mhlw.go.jp/intro/prs/)

【労働時間の管理】

 全てのテレワーク勤務者に対して労働時間制が適用されることは、通常勤務の従業員と変わりありません。
 ただし、テレワーク勤務の形態によってはなじみにくい労働時間制がありますので、各社のおかれている実情とテレワーク勤務者の仕事の仕方や業務内容などによって、どの労働時間制を適用するかと考えなければなりません。
(厚生労働省『テレワークモデル就業規則』p.11:https://www.tw-sodan.jp/dl_pdf/16.pdf

●始業・終業時刻の報告方法
 テレワーク勤務中でも勤怠管理(始業及び終業の時刻の把握)は必要であり、一般的には、始業及び終業の際に上司に電話や電子メールで連絡を入れるという方法がとられています。
(厚生労働省『テレワークモデル就業規則』p.12:https://www.tw-sodan.jp/dl_pdf/16.pdf

●時間外労働のルール
・「実労働時間やみなされた労働時間が法定労働時間を超える場合」や「法定休日に労働を行わせる場合」
 ⇒時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)の締結、届出及び割増賃金の支払が必要
・「現実に深夜に労働した場合」
 ⇒深夜労働に係る割増賃金の支払が必要
・テレワークを行う労働者は、業務に従事した時間を日報等において記録し、使用者はそれをもって当該労働者に係る労働時間の状況の適切な把握に努め、必要に応じて労働時間や業務内容等について見直すことが望ましいです。
(厚生労働省『テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン』p.16:https://www.mhlw.go.jp/content/000553510.pdf)

●休憩時間の取得方法・時間
 1日の労働時間が6時間を超える場合は45分以上、労働時間が8時間を超える場合は1時間の休憩を与えなければなりません。
(厚生労働省『テレワークモデル就業規則』p.18:https://www.tw-sodan.jp/dl_pdf/16.pdf

【手当・費用】

 テレワーク時のコスト負担についても取り決めが必要です。
 よく中小企業の経営者の方から、在宅勤務者は給与を下げても良いのではないかという相談がありますが、給与制度は業務内容や所定労働時間といった労働条件に変更がない限り、労働者への不利益変更はできないと考えるべきです。
(厚生労働省『テレワーク総合ポータルサイト』テレワークの導入方法 (7)社内制度・ルールの整備:https://telework.mhlw.go.jp/intro/prs/)

●通信費等の費用負担(会社負担、限度額、請求方法等)
 自宅でテレワークを実施する場合に必要な通信費や光熱費、ICT機器などの費用負担については、あらかじめ十分に話し合い、就業規則に定めておくことが望まれます。
 インターネット環境などはすでにほとんどの家庭で導入しており、追加負担も発生しないため、補助をしていない企業も多いのではないでしょうか。
(厚生労働省『テレワーク総合ポータルサイト』テレワークの導入方法 (7)社内制度・ルールの整備:https://telework.mhlw.go.jp/intro/prs/)

●通勤手当
 通勤手当は終日在宅勤務を行った日は会社に通勤することがなくなり、公共交通機関の通勤定期券相当額と実際に通勤した実費と比較して、定額となる方を支給するケースもあります。
(厚生労働省『テレワークモデル就業規則』p.20:https://www.tw-sodan.jp/dl_pdf/16.pdf

●業務時の服装ルール
 web会議やリモート会議を行う際、初対面の相手がいる場合に失礼にあたらない服装を心がける。

2.適用対象者

1.ポイント

  • ① 従業員の希望は聞くものの、在宅勤務を認めるかについては、最終的には使用者の判断であることを明記。
  • ② 使用者が、従業員に対して在宅勤務を命じることができることも明記。
  • ③ 使用者が、在宅勤務が相応しくないと判断した場合には、在宅勤務の取り消し、出社命令を出せることを明記。

2.規定例

【〇条】在宅勤務対象者

  • 1.在宅勤務の対象者は、次の各号の条件を全て満たし、事前に法人(会社)の許可を得た者とする。
  • (1)在宅勤務を希望する者であること
  • (2)業務の性質上、在宅勤務が可能であると法人が認めた者
  • (3)自らの健康に十分に留意し、自己管理のもと在宅でも円滑に業務ができ法人で業務に従事する際と同等の成果を出せると法人が認めた者
  • (4)自宅の執務環境、セキュリティ環境等いずれも適正と法人が認めた者
  • 2.在宅勤務を希望する者は、【所定の許可申請書に必要事項を記入のうえ、メール・チャット等に変更可】、1週間前までに所属長から前項の許可を受けなければならない。
  • 3.法人は、前2項にかかわらず、業務上の必要がある、在宅勤務を命じることができる。
  • 4.法人 は、業務上その他の理由により、いつでも第1項の許可・前項の在宅勤務命令を取消、又は、法人への出社を命じることができる。

【解決事例:相続】侵害された遺留分に対する価格弁償として相当額を受け取り解決に至った事例

2021年2月10日更新

遺留分侵害額請求に関する解決事例の紹介です。
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※遺留分減殺請求権(遺留分侵害額請求権)とは
被相続人が特定の相続人にだけ遺言で遺産を譲るなど、不平等な生前贈与・遺言がされた場合に、他の法定相続人が、法律上認められた一定の財産額(遺留分)の支払いを請求できる権利です。

遺留分侵害額請求


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【依頼内容】
Xさんは、遺言で不平等に多くの遺贈を受けたYさん(兄)に、話し合いの機会を求めました。しかし、Yさんはそれを無視し、全く話し合いに応じてくれませんでした。そこで、遺留分侵害額請求をしようと、当事務所に相談に来られました。
Xさんから以下のご相談をうけました。
①遺産の詳細が不明。
②自分の遺留分がどのくらいになるのかわからない。
③Yさんは土地と建物の移転登記手続きを済ませてしまったが、問題はないか。

【経過と結果】
土地・家屋の価格と預貯金の総額を調査し、遺産の詳細を確定させました。
それを元に、遺留分侵害額請求額がいくらなのか、確定させました。
不動産の所有権移転登記手続が完了していても、遺留分侵害額請求は問題なく行えます。
そこで、まずは、Yさんへ、内容証明郵便を送付して支払いを求めましたが、これも無視されました。
次に、速やかに、遺留分侵害額請求調停を申し立てました。すると、Yさんも調停期日に出席し、調停委員からの説得があり、当方の請求する遺留分満額の支払いを認め、無事調停が成立しました。

【コメント】
Xさんは実の兄と裁判はしたくないと大変悩まれていました。しかし、最終的には、全て無視を決め込む態度が変わらないのをみて、決心されました。
十分な客観的資料を収集できたため、新型コロナウイルス感染拡大の影響もありましたが、相談から調停成立まで約10ヶ月と、迅速な解決に至ることができた事例ですのでご紹介いたします。

テレワーク・在宅勤務の留意点と対処法 第1回

2021年1月15日更新

 新型コロナウイルスへの感染の懸念から、テレワークや在宅勤務の導入を行った/行おうとし
ている企業も少なくありません。当事務所にも同様の相談が寄せられています。
 あらためて、テレワーク・在宅勤務の留意点と、具体的な対処方法について、検討し、まとめ
てみました。ご関心のある企業・担当者の方のお役に立てれば幸いです。

第1総論

1.テレワークの定義

テレワークとは、「ICT(情報通信技術)を活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き
方」の事です。
(厚生労働省「テレワークとは」参照:https://telework.mhlw.go.jp/telework/about/

2.テレワークの就労形態

テレワークには、いくつかの就労形態があります。

  • ①在宅勤務:所属するオフィスに出勤しないで、従業員の自宅を就労場所とする形態です。
  • ②モバイルワーク:ノートPCや携帯電話等を用いて、移動中やカフェなど臨機応変に選択した
    場所で業務を行う形態です。
  • ③サテライトオフィス勤務:所属するメインのオフィス以外に設けられたオフィスや、遠隔勤
    務用の施設を就労場所とする形態です。

3.就業規則に定めるべき事項

通常勤務とテレワーク勤務において、労働時間制度やその他の労働条件が同じである場合は、
就業規則を変更しなくても、既存の就業規則のままでテレワーク勤務ができます。
しかし、通常勤務では生じないことがテレワーク勤務に限って生じる場合があるとき等は就業
規則の変更が必要となります。
(厚生労働省『テレワークモデル就業規則』p.3:https://www.tw-sodan.jp/dl_pdf/16.pdf

◆テレワークを行う際の就業規則に必ず記載しなければならない項目必要的記載事項)は以下
の①~③です。(労基法89条1号ないし3号)

  • ①始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに交替制の場合には就業時転換に関する事
  • ②賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払いの時期並びに昇給に関する事
  • ③退職に関する事(解雇の事由を含む。)

◆テレワークを行う際の就業規則に記載の必要がある項目任意的記載事項)は以下の①~⑧で
す。(労基法89条3号の2ないし10号)

  • ①退職手当に関する事
  • ②手当・賞与・最低賃金金額について定める場合には、これに関する事
  • ③食費・作業用品等を負担させる場合には、これに関する事
  • ④安全・衛生に関して定める場合には、これに関する事
  • ⑤職業訓練に関して定める場合には、これに関する事
  • ⑥災害補償・業務外の傷病扶助について定める場合には、これに関する事
  • ⑦表彰・制裁について定める場合には、これに関する事
  • ⑧上記のほか、当該事業場の全労働者に適用される事項について定める場合にはこれに関する

※就業場所は必要記載事項ではないので、労働時間等の変更がなければ、就業規則を変更する必要
はありません。

 いずれも通常の就業規則と同様の規制になりますが、就業規則を設計する際には、漏れがない
ように留意してください。
 特に、自前でパソコンを用意させる場合や、自宅のインターネット回線の費用負担などは、任
意的記載事項③「作業用品等を負担させる場合」に該当する可能性がありますので、明記した
方がよいでしょう。

【解決事例:遺産分割】遺産分割調停にて、相手方に特別受益を認めさせ、それを前提に換価分割を行い、円満解決に至った事例

2021年1月10日更新

【依頼内容】
弟さんとの遺産分割協議が暗礁に乗り上げてしまった。

 
被相続人は遠方に住んでおり、土地と居住用建物、賃貸用建物(併せて8000万)を有していた。(その他に預金と生命保険が少々あった。)自分で取引履歴を取り寄せたところ、弟には被相続人からの3000万円の生前贈与があることがわかった。
そのため、自分が不動産を取得しようと思ったのだが、弟はあくまで法定相続分での分割、なおかつ代償金を払ってでも不動産を取得したいという。これ以上話しても埒が明かないので、ご相談に来ていただいた。

【解決方法】
すぐさま遺産分割調停を申し立てた。分割方法については、打ち合わせを重ねてご自身の要望を整理し、換価分割(不動産を売却して、売却益を分ける方法)とすることを提案。

 
弟さんも、調停委員を通じて、特別受益の証拠を示し、その法的な意味を説明してもらったところ、それを認め、換価分割にも応じることになった。
売却にあたっては、ご依頼者様に様々に動いて頂き、またタイミングもよく、相応の値段で売却することができた。
売却代金等の管理は私が行い、合意しておいた計算式に基づいて分配し(この設例ではご依頼者様:5500万円、弟さん:2500万円)、最後の期日で遺産分割が完了したことを確認して、無事終了した。
兄弟で協力して換価が出来たことで、互いへの不信感も拭え、仲も改善し、縁を切るようなことにはならなかった。

【解決事例:不動産】借地権及びその上にある共有名義の建物を事前の見通しの範囲内の金額で買取り、和解成立から1年の猶予内に退去する旨で解決に至った事例

更新

 不動産の共有物分割に関する解決事例の紹介です。

【依頼内容】
 ご依頼人Xさんのご実家の土地を購入したが、借地権とその上にある相手方Yさんとの共有名義の建物(1階にXさん、2階にYさんが居住することを合意している)について、以下の不安があった。
 ①Yさんは建物の買取りを了承しているが、金額が不当に高くならないか。
 ②買取った後も使用賃借契約を定めた調停証書がある為、Yさんが居住し続けられてしまうのではないか。
 ③Yさんとの関係が非常に悪化している状態で、うまく話合いが進められるのか。

【経過と結果】
買取価格に関して:
 適正な価格については、不動産業者の意見などを双方提出し、互いの平均額を取ることで合意。

居住の実態に関して:
 Xさんは建物を実際に使用しており、建物に関する税金等の支払をしている事から必要性は高いことは明らか。
 Yさんは郵便物を確認する程度で居住はしていないとの事。
 それを証明するために内容証明を送付したところ、郵便物が他県に転送されている事がわかった。Yさんの生活の拠点は他県にあり建物を使用する必要性がない。

【コメント】
 共有物分割は、必ず解決策があります。
 今回は、Xさんが居住していてYさんが居住していないことから、Xさんが建物の価格を支払いできることが証明できれば買取が可能になるケースでした。
 問題は、Yさんの使用貸借を認めた調停調書の存在でしたが、居住していない事実を立証できたため、使用貸借権が活きず、共有物分割のみで争うことが出来ました。
 最終的には、当初の見通しの範囲内の買取額で和解ができ、新型コロナの影響があったにも関わらず、1年ほどで解決に至ることができました。

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