5.個人に顧問弁護士は必要か?

昨今は、個人の方でも、顧問弁護士をつけることを検討される方が増えています。
 痴漢冤罪への関心の高まりや「ブラック企業」問題、あおり運転など、身近に潜む法的なトラブルに対する認知・関心の高まりが背景にあるものと思われます。

 ただ、従来、顧問弁護士は、企業を対象としていたため、それに応じた月額固定の料金設定となっており、個人の方からすると、あまりに費用対効果が悪いものとなっていました。

 しかし、結婚(婚姻)と離婚、男女トラブル、住居の確保(不動産の購入・売却や賃貸借)、労働問題(セクハラ・パワハラも含む)、交通事故、相続といった問題は、現代日本で生きていく上で、避けて通れない問題です。
 そして、これらの問題は、実は、問題を解決していく上で、密接に関連してきます。いずれも、個人のプライベートな生活を扱うからです。離婚や相続の問題が家族の問題を背景にしていることはわかりやすいと思いますが、例えば、交通事故であっても、その損害賠償金額を算出する過程で労働状況(収入など)を確認することがあります。
 つまり、その方の生活全体を把握している弁護士でないと、最適な解決策を見いだせないのです。
 ここに、個人の方が顧問弁護士を付けておく大きな意味があります。

 私はこれを「かかりつけ弁護士」と呼んでいます。「かかりつけ医」のように、日頃の社会生活上の不安について継続的に相談できる存在であり、なおかつ、問題が発生しそうな場合には、自ら措置を取れるだけでなく、より適切な専門家へ繋げることができる存在のことをいいます。

 また、痴漢を疑われた場合などが典型ですが、緊急に弁護士が必要になる場合があります。そういった場合に連絡を取れる弁護士がいないと、事態がどんどん不利な状況になってしまうこともあります。そんな時に自分を弁護してくれる顧問弁護士がいると心強いでしょう。
私はこれを「救急弁護士」と呼んでいます。「救急隊員」のように、何かがあったときにやってきて、応急措置を施すことができる弁護士です。

 このように、個人の方であっても、顧問弁護士を付ける必要性はあると思います。

 問題は費用です。
 一般的に、顧問弁護士となると、毎月数万円程度の費用が生じます。
 しかし、上記のような、「かかりつけ」「救急」のときだけ利用するのに、毎月数万円を支払うのには抵抗があるかと思います。
 そんな方にご検討いただきたいのが、弁護士費用保険です。
 次回に続きます。

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